活性化領域(テーマ)

活性化領域(テーマ)

新時代の教育システム情報学

CAI学会として始まり,1995年に教育システム情報学会へ改名した本学会は,2024年に設立50周年を迎えました.この50年において,教育・学習をとりまく環境は大きく変化してきました.とくに近年は,人口,環境,経済,国際情勢など,これからの長期的な社会変化を見据える必要性が一層の高まりを見せる一方,生成AIを中心とする情報技術の発展には目を見張るものがあり,そこで求められる教育・学習観にも大きな変革の兆しがあります.教育システム情報学におけるあらゆる研究は,これを前提とした,いわば「新時代」の教育・学習に向けて,さらなる進化・深化が求められているといえるでしょう.
「重点テーマ」は,全国大会,研究会,学会誌などの諸活動を横断し,年度を通した重点的な議論のコアを定めるテーマとして設定するものです.今回,学会としての節目ともいえる50周年を期に,上述のような状況をふまえて,《新時代の教育システム情報学》を初めての重点テーマに据えることといたしました.
ここには,教育システム情報学の「これまでの50年」と「これからの50年」を学会員のみなさまとともに考えるという意味を込めています.「これまでの50年」からの温故知新を基盤としつつ,「新時代」において変わるもの・変わらないものを見極めるとともに,「これからの50年」の教育システム情報学に向けた「新しい」展開を多角的に議論することを目指した重点テーマです.
現在は,生成AIやVR/AR/MRなどをはじめとした多くの技術的革新が進み,本学会でもそのような技術の活用に関する多くの精力的な研究が進められているところですが,「新時代」に向けた議論のためには,このような技術的側面のみならず,育成すべき人材像,教育政策,組織運営,持続可能性,国際性など,先述した長期的な社会変化を想定したメタな観点が必要とされるでしょう.そのうえで,教授・学習の内容や方法,評価,モデル,技術など,教育システム情報学研究の要素のどこに「新時代」のエッセンスを見出すか.そこに研究者としてのオリジナリティが反映されると思います.みなさまの研究が《新時代の教育システム情報学》においてどのように位置づけられるのか.あるいは,《新時代の教育システム情報学》をどのように創っていくのか.研究発表や論文投稿などの諸活動において,ぜひこれに対するお考えを反映いただいて,活発な議論につなげていただければと思います.
この重点テーマは,換言すれば,「新時代の教育システム情報学はどうあるべきか?」という問いに学会として挑もう,という宣言でもあります.本分野のこれまでとこれからを,研究コミュニティとしての学び合いの中で,さまざまな観点から議論しましょう.