第46回教育システム情報学会全国大会

企画セッション

  • SEL(Social and Emotional Learning)の高等教育への適応
  • 教育DXを支えるLA(Learning Analytics)の多面的検討
  • 先進的学習メディアを用いた新しい学習体験の創出
  • データサイエンス教育におけるモデルカリキュラムとプログラミング教育
  • ニューノーマル時代の医療者教育
  • 教育DXと実世界指向学習環境
  • 次世代の人材を育成するため変革する教育システム

SEL(Social and Emotional Learning)の高等教育への適応

オーガナイザ:
山川修(福井県立大学),田中洋一(仁愛女子短期大学),多川孝央(九州大学),中村一浩(慶應義塾大学),藤平昌寿(帝京大学)

概要:SEL(Social and Emotional Learning)とは,社会性と情動の学習をさすが,自分の感情を正確にキャッチできなければ,他者の感情もキャッチできず,他者との良好な関係を築くことも難しくなる.それゆえ,社会性を学習することと,自分の感情(情動)を学習することは密接に関係している.具体的にSELで焦点を当てるのは,「自己への気づき」「他者への気づき」「自己のコントロール」「対人関係」「責任ある意思決定」という5つの分野である.
 本企画セッションでは,SELに関する実践,研究発表を募集し,その議論をする中で,日本の高等教育におけるSELの展開を目指す.なお,SELの重要な要素として「対話」も含まれる.そのため,対話と教育に関する実践や研究発表も応募を期待している.

カテゴリ表との対応(議論観点→カテゴリ→分野名)
支援対象→教育・学習手法→協調学習

キーワード:
コミュニケーション支援,コミュニティ支援,グループ学習
テーマ独自のキーワード:
SEL(Social and Emotional Learning),非認知能力,対話

教育DXを支えるLA(Learning Analytics)の多面的検討

オーガナイザ:
緒方広明(京都大学),柏原昭博(電気通信大学),田村恭久(上智大学),林佑樹(大阪府立大学),松居辰則(早稲田大学),村上正行(大阪大学),吉田自由児(デジタル・ナレッジ),加藤泰久(東京通信大学),北村士朗(熊本大学),仲林清(千葉工業大学),真嶋由貴惠(大阪府立大学),松居辰則(早稲田大学),森本容介(放送大学)

概要:DX(デジタル・トランスフォーメーション, Digital Transformation)とは,「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し,データとデジタル技術を活用して,顧客や社会のニーズを基に,製品やサービス,ビジネスモデルを変革するとともに,業務そのものや,組織,プロセス,企業文化・風土を変革し,競争上の優位性を確立すること」(経済産業省)とされる.教育や学習においてもDX(教育DX)は今後の重要な課題となる.さらに,教育DXを実現するためにはLA(Learning Analytics(学習データの活用))がその基盤となる.大規模な学習履歴,あるいは粒度の細かな学習行動履歴,生体情報等(学習データ)から学習者の学習過程のみならず思考過程,心的状態をも把握できる可能性に期待が寄せられている.学習評価・教育評価の観点からは「今までできなかったこと」,つまり,学習プロセスに関する評価の可能性への期待であると考えられる.DXの本質は,ICTの利活用をさらに高度化し,データ・技術・人間が共生して新たな価値を創出することにある.したがって,LAは「技術と人間の共生」という考えのもと戦略的かつ計画的(何をデジタル化するのか,何ができるようなるのか,何が変わるのか)に位置づけられる必要がある.そこで,本企画セッションでは,教育DXの基盤となるLAに関する理論・技術・実践の先進的な事例やツールをご紹介いただき,教育DXの基盤となる実効性の高いLAを実現するための課題を共有し,産官学連携も視野に入れた多面的な議論を行いたい.

カテゴリ表との対応(議論観点→カテゴリ→分野名)

支援対象
→設計
→学習環境デザイン
→分析・評価
→学習者特性・行動分析
 
→学習評価・アセスメント
技術
→先進的学習支援技術→分析技術
キーワード:
学習科学,ポートフォリオ,テスト理論,レスポンス分析,数理モデル,データマイニング,学習データ,ラーニングアナリティクス,ビッグデータ,学習過程,思考過程,心的状態,生体情報,学習履歴

先進的学習メディアを用いた新しい学習体験の創出

オーガナイザ:
柏原昭博(電気通信大学),松居辰則(早稲田大学),松原行宏(広島市立大学),長谷川忍(北陸科学技術大学院大学),松浦健二(徳島大学),曽我真人(和歌山大学),小尻智子(関西大学)

概要:ソーシャルロボット,Virtual Reality(VR),Augmented Reality (AR)などの先進的学習メディアやそれらとAIを組み合わせて,学びにおける認知面に止まらず,感情・情動面までもシステマティックに支援しようとする新しい試みが始まっている.これらの学習メディアには,従来のメディアと比較して,学習者による学びの体験をよりエンハンスする働きが期待されるが,各メディアの特性を踏まえて学習者とのインタラクションをデザインし,学びに資する認知的,感情・情動的プロセスを効果的に引き出すことが重要である.本企画セッションでは,先進的学習メディアの特性,新しい学習体験の創出,学習者のエンゲージメント,動機付け,安心感など学びに資する感情・情動面の支援などについて議論する.本企画セッションは,昨年開催された企画セッション「AI/ロボット/VR・ARを活用した学びにおける感情・情動面からの支援」の続編であり,関連研究を一堂に会して先進的学習支援技術の研究・開発を推進することをねらいとしている.

カテゴリ表との対応(議論観点→カテゴリ→分野名)
技術→先進的学習支援技術→先進的学習支援

キーワード:
アフェクティブコンピューティング,VR,AR
テーマ独自のキーワード:
AI,ソーシャルロボット,感情・情動面の支援

データサイエンス教育におけるモデルカリキュラムとプログラミング教育

オーガナイザ:
西端 律子(畿央大学),布施 泉(北海道大学),浅羽 修丈(北九州市立大学),尾崎 拓郎(大阪教育大学),鷹岡 亮(山口大学),永田 奈央美(静岡産業大学),西野 和典(太成学院大学),長谷川 理(武蔵野大学),波多野 和彦(江戸川大学),森 祥寛(金沢大学),山川 広人(公立千歳科学技術大学),山本 樹(明海大学)

概要:現在,2019年6月に策定された「AI戦略2019(統合イノベーション戦略推進会議)」に基づき,「数理・データサイエンス・AI」を Society5.0時代の基礎知識と捉えた人材育成と教育改革が進められています.小中高校における教育環境の整備,小学校における「プログラミング教育」の導入や高校における教科「情報」の学習内容の強化(AI基礎やプログラミングを含む),さらには高等教育段階では,データサイエンス教育のリテラシー教育レベルや応用基礎教育レベルのモデルカリキュラムの開発,認定制度の構築など具体的な取り組みが加速しています.
 これらの状況を踏まえ,本企画セッションでは,データサイエンス教育におけるモデルカリキュラム,そしてそのなかでも核の1つとなり,小学校から高等教育までの接続性を検討することとなるプログラミング教育について焦点をあて,これらの研究発表,またデータサイエンス教育に関わる分野・領域の研究発表も広く募集します.多くの皆さまの発表をお待ちしますとともに,多くの皆さまとともに考える場になればと思っています.

カテゴリ表との対応(議論観点→カテゴリ→分野名)

支援対象
→領域別教育→プログラミング教育
→対象別教育→初等中等教育
→対象別教育→高等教育
キーワード:
データサイエンス教育, プログラミング教育, AI教育, リテラシー教育, 教科「情報」, モデルカリキュラム, 資格・認定制度

ニューノーマル時代の医療者教育

オーガナイザ:
真嶋由貴恵(大阪府立大学),丹羽雅之(岐阜大学) ,中村裕美子(大阪府立大学),木下淳博(東京医科歯科大学),須永昌代(東京医科歯科大学)

概要:今回のCOVID-19の流行において,医療者等の教育機関では臨床実習の中止,オンライン・オンデマンド教育が余儀なくされました.その中でも郵送での教材配布・レポートの回収なども行われたところもあると聞いております.また,COVID-19感染者,重傷者の増大により実際の医療現場での研修方法の工夫も喫緊の課題となっています.今,旧態依然の医療者教育からの脱却が真に求められています.そこで,本企画セッションでは,医療職等の教育分野でのオンライン教育を前提にした課題を明らかにし,Zoomなどのオンライン会議システム,ICTによる教授方法の工夫やARやVR,センシング,IoT,AI,エージェントなどの新たなツールの活用,教育評価におけるビッグデータ解析,IRなどから明らかになった新たな知見に関する研究報告を募集し,ニューノーマル時代の医療者教育について全体を通して議論いたします.

カテゴリ表との対応(議論観点→カテゴリ→分野名)
支援対象→領域別教育→医療・看護・福祉教育

キーワード:
医療者教育,専門職教育,継続教育,社会人教育,施設内教育,研修デザイン,スキル学習,健康教育,患者教育,ロボット・AI・IoTの活用,質保証,eラーニング,臨地実習支援,AR/VR,LMS,評価手法,ユーザインターフェース,

教育DXと実世界指向学習環境

オーガナイザ:
高木正則(岩手県立大学),佐々木整(拓殖大学),鷹野孝典(神奈川工科大学),三石大(東北大学),光原弘幸(徳島大学)

概要:現代の様々な新技術は教育学習環境を大きく変えようとしています.例えば,携帯情報端末や高速無線通信の技術により,世界中の様々な教育コンテンツをいつでもどこでも学べるようになり,国や地域を越えた協調学習も可能になりました.さらに,存在感を有して知的に振る舞うロボット,身の回りの様々なモノをコンピューティングの対象とするIoT,実世界と仮想世界を融合した学習環境を提供するMR/VR/ARなど,新しい教育学習環境を切り拓く技術が次々と社会に浸透しています.
 また,昨年からは世界的なコロナ禍の影響で,教育学習環境のオンライン化が一気に加速し,教育現場におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)への関心が急速に高まっています.このような学び方や教え方のパラダイムシフトの必要性や可能性を実感する一方で,実際にその場に訪れ,人やモノと接することでしか得られない学びを提供する実世界指向の教育学習環境の重要性に改めて気づかされるきっかけともなっています.すなわち,今後のニューノーマル時代を見据え,オンライン環境を活用しつつ,学習体験を最大化するための実世界指向の教育学習環境をどのようにデザインし,これを実現していくかは,教育システム情報学の分野において活発に議論されるべきアジェンダの一つと言えるでしょう.
 本企画セッションでは, このような教育学習環境の急速な変化を踏まえ,「教育DXと実世界指向学習環境」について,そのための教授設計も含め, システム・基礎技術の開発, 実践, ならびに, 新しい教育・学習手法に関する幅広い研究発表を募集し, 共に考える議論の場としたいと考えています.

カテゴリ表との対応(議論観点→カテゴリ→分野名)

技術
→ICT活用→ディバイス活用
→先進的学習支援技術→先進的学習支援
→先進的学習支援技術→ユーザインタフェイス
キーワード:
モバイル,タブレット,ユビキタス,ウェアラブル,ヒューマノイドロボット,IoT, AI(人工知能),アフェクティブコンピューティング,エージェント,機械学習,情報検索,適応的支援,ナビゲーション支援,リフレクション支援,情報推薦,ゲーミフィケーション,外在化支援,抽象化支援,知識マップ,仮想現実(VR), 拡張現実(AR),HCI,視線入力,ヘッドマウントディスプレイ(HMD),ジェスチャ入力,3D,可視化,センサーデバイス,音声入力,シミュレーション,マイクロワールド,擬人化技術,アウェアネス,テレイグジスタンス,力覚情報,ヒューマノイドロボット
テーマ独自のキーワード:
個別最適化,パーソナライズ学習,5G

次世代の人材を育成するため変革する教育システム

オーガナイザ:
瀬田 和久(大阪府立大学),村上 正行(大阪大学),松田 憲幸(和歌山大学),後藤田 中(香川大学),田中 孝治(金沢工業大学),近藤 伸彦(東京都立大学),山元 翔(近畿大学)

概要:COVID-19の影響により,各高等教育機関でのオンライン授業,BYODが広く展開されるなど,教育手法が一層多様化していく中,教育DX(デジタル・トランスフォーメーション)が謳われています.ポストコロナを見据えた「Society 5.0」では,サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより,経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会が提唱されています.そうした社会システムの実現に向けて,数理的推論やデータ分析力を含むリテラシーや,論理思考力,規範的判断力をベースに社会システムを構想・設計する力を持つ人材が求められています.現在,大学入学共通テストへの「情報」の出題が検討される中,専門分野を問わず,誰でも数理・データサイエンス,AI活用の素養を身につけられる教育システムが必要となっています.本セッションでは,今後のSociety5.0の発展を見据え,初等・中等から高等教育機関におけるAI教育,情報教育等に加え,リカレント教育も含めた社会の教育発展に寄与する先行的な取り組みに注目します.情報教育(デジタルリテラシー教育,IoTを利活用をしたサービスデザインの教育,教育の枠組み設計等),また,地域活性化に向けた産学連携・産学官連携も含めた人材育成支援の取り組み等に関する発表を広く募集いたします.
※なお,本セッションは,学会誌2023年度特集号(2022年6月投稿締切予定)の企画と連動するものです.

カテゴリ表との対応(議論観点→カテゴリ→分野名)

支援対象
→対象別教育→HRD・生涯学習
→対象別教育→高等教育
→領域別教育→スキル学習
キーワード:
リカレント教育,IoT
テーマ独自のキーワード:
アフターデジタル,DX(デジタル・トランスフォーメーション)